| 例えば、パリの「レ・ドゥ・マゴ」や「カフェ・ド・フロール」といった老舗カフェ。歴史に名を残す芸術家や文化人に愛され、今もなお街の人々に親しまれているサロン的存在です。その雰囲気を漂わすカフェが、神戸・トアロードにあります。その名も「MOKUBA’S TAVERN」。ジャズや映画、アートを愛する人々が集い語らう場所。オーナー・小西武志さんにお話を伺いました。 | |||
今はどこ行ったって画一的な感じになってるけど、前は個性がありましたね。居留地にしても異人館にしても貿易商の外国人も多くて、そういう人たちが文化を形作ってきたところもありました。でもそういう人たちが経済的な影響で神戸を離れなくてはならなくなって。 80年代くらいまでは独特な雰囲気もありましたが、やっぱり震災後だいぶ変わってきたように感じます。街がダメージを受けているその隙間に、中央の資本がどっと入ってきた。実際、それを受け入れざるを得なかったという背景がありましたから。でも神戸っていう街は、そういう外からの変化をうまく取り入れてやってきた街ですから。利用して、時間をかけて、また神戸らしさを作っていくことをやっていかないとね。 | |||
★文化面ではいかがですか? | |||
文化シーンでは東京のムーブメントに叶わないけど、歴史環境という面では神戸はすばらしいと思います。でも店にばっかりこもっているから、移り変わっている神戸は知らないんですよ(笑)。だから楽しみ方というのではないんですけど、例えば旅する前に、食事する前にね。個人的には、予備知識ばかり詰め込むのはどうかと…。この店でこのメニューを食べてそのまま出て行く、というのではつまらない。もう少し突っ込んでアプローチしてほしいと思います。「らしさ」っていったい何なのか。ネットでも情報が氾濫していますが、物事には隠された部分ってのがいっぱいある。それは現場にしかないものです。それを見出すくらいの気持ちがほしいね。突っ込まれて嫌な顔する店の人はいないですよ、少なくとも僕のとこは(笑)。昔は店に来るのはジャズが目当てだから分かりやすかった。日本ジャズブックレットという本があってね、目指して来てましたから。「どこから来たんだい」と気軽に話せたけどね。今は幅広いお客さんが来るから、何で来てくれたのか分かりにくい。だから気軽に話しかけるのもちょっと難しいところもあってね。だからもっとお客さんのほうから話しかけてほしいですね。ジャズでも映画でも、どうしようもない恋愛の話でもね(笑)。今も遠くから目指してくれる客がありますけど、コーヒーが美味しいからといって来てるわけではなく、ヒューマン的な部分というか、人恋しさというか、それを求めている。一人だったら、人恋しくなりますよ。2〜3人、団体になったらそれがなくなる。だから若い人にはぜひ一人旅を勧めたいですね。神戸は街もコンパクトにまとまっているし、一人旅にいいんじゃないでしょうか。街歩きに限らず、群れをなして行動すると得られないものが多い。孤独から得られるものはたくさんあります。普段の生活でもひとりの時間を大事にしてほしいですね。 | |||
若い人たちのいいところは、機転が利くということ。ぼくらの世代は「我慢」だったけど、でも我慢って逆に言えば安易なんですよ、その状況を耐えているというだけで。その点は若い人はさばけている。僕はもう60代だけど、50代を飛び越えて40代以下の人に言えるんじゃないかな。一つの道でも「これがダメだったらあれ」と、いろんな方法でやってみる器用さがあると感じますね。それとこの時代、合理主義的になるのは仕方ないのかもしれないけど、道草をしてでも、遠回りしてでも、やっておいたほうがいいと思うことはありますね。例えばジャズを30年もやってれば「何を聴けばいいですか」と安直に聞かれる。人が勧めるものをそのまま受け入れてしまうところがあるのかな。でも自分の感性で選んで2500円使うことに意味がある。「ああつまんなかったな」だったとしても、そのお金は無駄になっていない。効率的に動くだけが全てじゃないんです。何でもそう。回り道するのを恐れないでほしいと思いますね。 | |||
★小西さんへの一問一答 | |||
>>終わり インタビューを終えて! 「素敵な女性は群れない」「孤独が似合う人は魅力的」−。小西さんの言う、精神的に自立した女性は、同性の目から見てもすばらしい存在。あふれる情報に自分を見失いがちな現代、揺るがない「軸」を持つことの大切さを感じました。
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座右の銘

