| 引き続き、イタリアで活躍するコンテンポラリーダンサー・成澤 幾波子さんにお話をおうかがいします。イタリアでの生活やライフスタイルなどプライベートのエピソードや夢を叶えるためのメッセージも。ナチュラルな魅力いっぱいの素顔を紹介します。 | |||
まったく知らずに飛び込んだんですけど(笑)。でもフランス語は多少分かったので大丈夫だろう、なんとかなるだろうと。昼はダンスの練習、夜はイタリア語を独学で勉強して。今はだいぶ無理なく話せるようになりましたね。 ★暮らしているのは、どんな町ですか。 カンパニーがあるのは、レッジョ・エミリアという小さい町。ボローニャが割と近く、ミラノやフィレンツェも1時間半くらいで行けて便利です。近くにはパルマとモデナもあって、食事がすごくおいしいので危険です(笑)。 ★その町で「アテルバレット」はどんな存在ですか? 町の人にはけっこう知られてますね。初演は地元ですることが多くて、好きな人は毎回来てくれたりします。日本人だから印象に残るのか、町の人に「こないだ公演見たわよ」とか声をかけられてこっちがびっくりしたり。↑写真は「Coppolart Night」の時のもの。 | |||
練習が10時半始まりなので、9時くらいに起床して、ゆっくりネットみたり朝ごはん食べたり…、稽古場は自転車ですぐなので。 午前は1時間半、ウォーミングアップのバレエのクラスがあって、午後はリハーサル。きちっと時間割されているわけではなく、公演が近ければ終了は5〜6時、早いときは2時くらいに終わるときもあります。 ↑Aterballettoの公演 W.Matteini振付「Parole Sospese」一番手前右が成澤さん ★イタリアならではの過ごし方は? 冬は練習が終わると家に帰ったりしますけど、春夏はお天気もいいし食前酒…、アペリティフを公園に持って行って夕方から飲んじゃいます(笑)。ビジネスマンの人たちも普通6時くらいには終わってるので、その時間になると1杯ひっかけにいくという感じですね。バールがあちこちにあってご飯も出してくれるので、軽食といわず夕ご飯になっちゃう感じ。 夏は野外イベントも多いです。例えば毎年7月には映画のサウンドトラックのフェスティバルがあって、オーケストラやビッグバンドのコンサートがあったり、ミュージカルをスクリーンで流したり…。全部タダなので、近くのバールでのんびりアペリティフやりながら観る(笑)。小さい町でも、そういった文化イベントは盛んですね。 日本だと遅くまでファッションビルが開いてたり、映画館もメジャーからミニシアターもあるし、ゲームセンターやカラオケもありますが、そういうのはありません。だからこそ、イベントがあるとみんなわーっと出かけますね。イタリアでは家にいるのが普通なんです。家族で過ごしたり、友達を呼んでご飯を食べたり。 | |||
ゆっくり過ごします。本や雑誌を見たり…。アートやファッション関係の本を集めた本屋があるので、そこで買ってきます。あとは、音楽を聴いたりネットをしたり。 今はイタリア人の同僚と2人でシェアして住んでます。お互いマイペースですがケンカはないですね。男性ですが、わたし以上に女性らしい。美意識が高く、美容に関してもうるさいくらい(笑)。 オハッド・ナハリン振付「Minus 7」よりデュエット→ ★体のために気を遣っていることは? それほど気を遣うタイプではありませんが…、やっぱり食生活。最近はピザやパスタを連続して食べないとか、お肉と野菜ですますとか。自炊なので、日本食を作って食べることも。昔みたいに、甘いものをあまり食べなくなりましたね。 ★表現活動のために心がけていることは? 他のダンス公演にもできるだけ行くようにしています。音楽でいえばクラシックやジャズも好きだし、映画でも“間”や立ち振る舞いとか…、言い方は安っぽくなっちゃうけど、センスがよければ通じるものがあるから、自分の舞台に役立つかもと思って見ています。 絵が好きなのも、舞台構成とか、大勢で踊るときのバランス感覚とかにつながってるんじゃない?と人から言われたことがありました。なので、ダンス以外への興味を保つように意識はしていますね。 | |||
夏休み1カ月と、クリスマス休暇のとき。イタリアにいると何事も仕事優先なので、自然と“踊るモード”になっています。娯楽もないし、夜遊びもそれほどせず、ゆっくりすることが多いのですが、日本に帰ってきている間は完全オフ。遊ぶぞ〜っ!とずっと外にいる感じですね。寝るのも遅いですし。 ★イタリアの同世代のファッションはどんな感じ? 日本はかわいい系が多いじゃないですか。フリルとかチュニックとか。そういうのに比べたらシンプル。スキニージーンズに今年ならフラットなバレエシューズとか。 昼間というか普段はTシャツでシンプルに、夜はドレッシーに、とメリハリがついてますね。夜遊びのときはレースのトップに石畳でもかまわず高いヒールはいて(笑)。男の子もそういう感じ。日本だと普段からお出かけの格好でいるみたいですが…、そこがちょっと違いますね。 イタリア人も割とみんな同じ格好してますよ。やっぱり流行りはおさえてて、例えばジーンズもはやりの丈だったり。バッグとか髪のカラーリングで、流行が分かりますね。でも日本みたいに、エリアごとにファッションが違うことはないです。 ★イタリアに行って価値観が変わったことは? 価値観というか…、最初は自分がよく分からなくなりましたね。性格もオープンで人見知りもしないし言いたいいことは言う。そんなところが日本人ぽくない、と言われる反面、役所の反応が遅いとちゃんとしてよ!と思ったり(笑)。自分がいくらマイペースでやってても、根の部分では日本人だなあと。自分の中の感覚と、外に求める感覚が違うなと思ったりすることはありましたね。 | |||
1〜2年前、マックスマーラグループが演目「ロミオとジュリエット」のスポンサーだったとき、ファッションとダンスのコラボレーションイベントで、そこの服を着て踊りました。それがカタログになったり。カンパニーとのコラボでダンシングバッグも作りました。練習に使いやすいようにダンサーが提案をして、世界全店で限定販売もしたそうです。そのバッグはダンサー全員にプレゼントされました。そんなファッションとからんだような経験ができるのもイタリアならではかなと。 友達がブルガリリゾートに連れて行ってくれたのも、普段そういう機会がないのでうれしかったです(笑)。ミラノコレクションに出た日本人デザイナーの打ち上げに紛れて盛り上がったり(笑)。 ★日本から買って帰るものとかありますか? そうですね…、ステーショナリーやミニシアター系のDVDとか。後は、安くてかわいい服。ヨーロッパで同じ値段だったら、ユニクロみたいなシンプルなものしかないのが、日本では小技がきいてたり、ひねりがあったりしますよね。それどこで買ったの?と聞かれることも多いです。ヘアアクセサリーやソックスなんかの雑貨は、やっぱり細かい部分に気が利いていますね。普段はH&Mとか着てるので、そういうのにあわせたりします。 ↑写真はスプラッシュで神戸観光した時のもの ★好きなファッションスタイルは? シンプルなもの。持っているのもビビッドな原色はなくて、くすんだものが多いです。それに白や黒、グレーなど。アースカラーというか軍隊っぽい色も好きで(笑)、メンズも着ます。今日みたいなスキニーだけじゃなく、バギーやゆるゆるのも。足も大きいので、メンズのブーツを合わせたり。最近はブランドにこだわらず、気になったら買っちゃいます。 | |||
何度か話はきているようですが、具体的にはまだですね。イタリアのダンス事情がまだ日本ではあまり知られていませんし…。エージェントから話があってもスポンサーが見つかりにくいようですね。 今年8月の頭に東京でパリ・オペラ座の人たちがいろんな振付家の作品を踊る「エトワール・ガラ」があって、うちの振付家の作品をエトワールが踊りました。振付家の作品としてはそれが正式な初演だと思います。わたしのほうは今回、アテルバレットのダンサーとして神戸ファッションウイークに参加することができましたし、それで振付家の存在が広がればなと思います。 ←神戸ファッション美術館で9月21日まで「〜波動〜成澤幾波子」写真展を開催中 ★今後の目標は。 できればいろんな振付家と組んでみたいので、もしかしたらイタリアに残らないかもしれないし…、でも逆にここでやっていくと決めてやるかもしれません。ただ、できるだけいろんな作品に出てみたいですね。 ★最後に、自分の道を探している人にメッセージを。 わたしは小さいころから絵や、何かを作ることが好きだったんですけど、自分が今コンテンポラリーダンスで体を使って作ることに参加できているのも、そういうベースがあったからかな…と思います。それがあって、今にたどり着いたんだなあって。 自分が本当に好きなことは何かと考えていくと、おのずと道が開けていくのかなと…。周りの友達も、お化粧が好きだからメイクとか、細かい作業が好きだからネールアートとか、それぞれの道を進んでます。好きな仕事につけるとは限らないけど、自分が何か好きを明確にして、仕事になるようなやり方を見つける。それがわたしの場合、留学でしたが、試験に落ちたりもしてますし。それでもとりあえずがんばって続けることで、今に至る感じです。「なんとかなる」って思うことですね(笑)。 | |||
インフォメーション9月21日まで、神戸ファッション美術館で写真家・野村佐紀子さんが撮り下ろした 「〜波動〜成澤幾波子」写真展を開催中。 >>終わり インタビューを終えて 落ち着いた話し方、やさしい声音とはうらはらに、芯の強さを感じさせる女性。異国の地でチャレンジを続け、マイペースながらもたくましく生きる姿に元気をもらった気がします。またいつか、舞台を見られる日を楽しみに、活躍を期待したいと思います。
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